3人が本棚に入れています
本棚に追加
おまちかねのシール開封タイム!
今日買ったのは星座のシールである。そう、あの百均で買ったものだ。袋をそっとハサミで切って開ける。
「あぁ、いいわこれ」
買った時はそこまで好みじゃなかったけど、このサイズ感は貼るのにちょうどいい。使いやすそうだ。
私は手帳にシールを貼る。もちろんプライベートな手帳だ。予定が入っている日付のところだけではなく、空いているところにバランスよく配置していくのだ。仕事用と二冊持っているのはなかなか面倒だけど、仕事用のをデコるのも、趣味がバレたらどうしようと思ってできない。
今月は結構暇だったから、空きスペースがある。まずは予定のある日に半透明のトレーシング素材の丸シールを貼っていく。星座のシールが金色だから、イエローで合わせて。
美容院の予約、ネイルサロンの予約、病院、そしてお出かけ。男友達と会う日もある。そのときはワンピースとかスカートとか着ていけないからしんどいこともあるけど、私は八割の日が男なので大抵はなんとかなる。朝起きた時に男の気分であるように祈るだけだ。
丸シールを貼り終わったので、いよいよ星座シールの出番だ。十月のページは黄色く染まっている。
ここかな? と全体のバランスを見ながらシールを数枚貼っていく。動画だとピンセットで慎重にやっている人を見かけるけど、私は面倒くさがりだから指でつまんで貼る。
星座の名前は分からない。黄道十二星座なことぐらいしかわからない。あと私の星座である双子座。この三角のやつなに?
でも可愛いからいいのだ。可愛いは正義。手帳が可愛くデコれていればそれでいい。
「いいじゃん……!」
あぁ、いい感じだ。すごくステキだ。なんて可愛いのだろう。きゃー、可愛い! やっぱこの星座シールを買って良かった。
星柄のマスキングテープを取り出す。ベースは紺色で、まるで夜空をイメージしたかのような作りになっている。上下の空いているところに貼って、ハサミでちょうどよく収まるように切る。
「最高か?」
とても良い。黄色って白い紙がベースだと見えづらくなるけど、この紺のマステを貼ったことで引き締まって見える。可愛いだけじゃなくて落ち着いた感じが出た。
完成した手帳を見て、思わずため息が出た。すごい。今月すごいよ。ぱら、と九月を見る。九月は赤い。もちろん赤もいいけど、今月の黄色の方がずっとずっと良くなっているように見える。
手帳を閉じながら独り言を呟く。
「また行こう」
百均最高。本当にシールというものがこの世に存在していて良かった。そんな世界に生まれてきてよかった。ありがとうシール。大好きだよシール。
私は男だけど、別に趣味に性別なんて関係ない。私は私だし、僕は僕なのだ。それで良いのだ。別に迷惑をかけているわけじゃないから。
アパートの一室で、そんなことを私は思うのだった。
最初のコメントを投稿しよう!