家族

9/10
38人が本棚に入れています
本棚に追加
/199ページ
「ハルカ」  父がわたしの名を呼んで手招きした。わたしは不思議に思いながら、二人の元へ向かう。 「ミコトさんから、改めて祝福を頂けるそうだ」  そう言って父が右手を取ると、左側に立つアヤさんが、優しく微笑み、わたしの左手を取る。  それを確認したミコトさんが、わたしに軽く頭を下げた。 「ハルカさん。あなたの働きは、星を救うほどの大きなものになりました。あなたには、この星の代表として、お礼を述べさせていただきます」 「いえ、わたしは、大したことはしていません。全ては授かった力のおかげですから」  わたしが答えると、ミコトさんはゆっくりとうなずいた。 「あなたの働きのお礼として、願いを叶えて差し上げましょう。何か、お望みのことはありますか?」  わたしが願うこと。それは、こうして大切な人たちと一緒にいられること。そして、魔法の力で多くの人たちを助けること。  答を口にする前に、ミコトさんは桜のネックレスをわたしの首にかけた。
/199ページ

最初のコメントを投稿しよう!