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「こちらで魔法を扱っていると伺ったのですが」
「はい、取り扱っております。どうぞ、お掛けください」
アヤさんがわたしが座っていた椅子を勧め、女性はゆっくりと腰掛けた。彼女は不安気にお店の中を見回している。
「あの……」
言葉に詰まっている彼女を手で制して、アヤさんはテーブルの上の〝魔法事典〟に手をかざした。
ひとりでに事典のページがめくれていく。女性の方は不思議そうにその様子を見守っている。これは、お客様が来たときの恒例の儀式だ。
しばらくして、魔法事典はとあるページを指し示した。アヤさんはページの内容を確認し、テーブル隅に置いてあるカードにペンを走らせる。
ご注文 No・095 読心の魔法
〈買い取り〉
現金でのお支払い 720万円
時間でのお支払い 300日
〈レンタル〉
買取金額の1パーセント/日
「あなたに必要な魔法はこちらのようです」
彼女はアヤさんが差し出したカードを見て、驚いたようだった。心当たりがあるのだろう。
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