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「わたしは昔から引っ込み思案で、そもそもアイドルなんて向いていないんです。でも、母がそういう性格を直すいい機会だと言って、勝手に話を進めてしまって」
「普通、止めそうですけどね」
「母と事務所の社長が意気投合してしまったんです」
「でも、アイドルのユイさんはめちゃくちゃかわいいですよ。向いてないようには見えないですけど」
「無理して演じているだけですよ。あんなの本当のわたしじゃないんです。今すぐにでも辞めたいぐらいで」
そう話すユイさんの表情がどんどん険しくなっていく。
「では、魔法はお母さんの事で?」
アヤさんが聞くと、彼女は静かにうなずいた。
「本当は音楽を作る方の仕事をやりたいんです。でも、母の思いを裏切ることになるので、どうしても言い出せなくて。母がどう考えているのか、先に本心が知ることが出来ればと思ったんです」
彼女はそう言うが、もしお母さんが反対したらどうするのだろう。言われるままにアイドルを続けるのだろうか。
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