心の声

7/15
前へ
/199ページ
次へ
「わたしは昔から引っ込み思案で、そもそもアイドルなんて向いていないんです。でも、母がそういう性格を直すいい機会だと言って、勝手に話を進めてしまって」 「普通、止めそうですけどね」 「母と事務所の社長が意気投合してしまったんです」 「でも、アイドルのユイさんはめちゃくちゃかわいいですよ。向いてないようには見えないですけど」 「無理して演じているだけですよ。あんなの本当のわたしじゃないんです。今すぐにでも辞めたいぐらいで」  そう話すユイさんの表情がどんどん険しくなっていく。 「では、魔法はお母さんの事で?」  アヤさんが聞くと、彼女は静かにうなずいた。 「本当は音楽を作る方の仕事をやりたいんです。でも、母の思いを裏切ることになるので、どうしても言い出せなくて。母がどう考えているのか、先に本心が知ることが出来ればと思ったんです」  彼女はそう言うが、もしお母さんが反対したらどうするのだろう。言われるままにアイドルを続けるのだろうか。
/199ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加