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「わかりました。では、魔法についてお話ししますね。読心の魔法は、相手の心を読み取る魔法です。これをどう使うかは、お客様に委ねられています」
そう言って、アヤさんが目配せしてくる。わたしは軽くうなずいて、奥の棚の引き出しを開ける。
中にはたくさんのケースがしまってあり、それぞれに小さく番号が振られている。その中から〝095〟の番号の物を選び取り、ビーズ付きのミサンガを添えて、アヤさんに手渡す。
「こちらは、読心の魔法と同じ効果を持つイヤリングです」
ケースの中にはシルバーのシンプルなデザインのイヤリングが入っている。
「これをつけて相手の目を見れば、心の声が聞こえます」
ユイさんはケースを受け取って不思議そうに眺めている。
「これが魔法なのですか?」
「魔法の体験用の道具だと考えてください。もし、一緒にこれをつけることに同意いただければ、無料でお貸しできます。魔法を購入されるかはその後の判断で構いません」
アヤさんはビーズ付きのミサンガを手のひらに乗せて見せた。
「こちらは、〝意識同調のビーズ〟です。魔法を発動されたとき、この子の持つビーズとリンクします」
そう言って、アヤさんはわたしの左手首のミサンガを指した。
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