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ここは、どこだ。
ランドは布のせいで目が見えないからどんな場所に連れて行かれたか分からない。
しかし、自分を閉じ込める音で自分はどこかの牢獄に閉じ込められていることは分かった。
しかも、雨で湿った独特の匂い、床の感触から周りは石で出来た所、この村でそんな所は小さな神殿しか無かった。村の者が何年もかけて作った神殿だ。
人の気配がする。恐らく一人、見張りがいるのだとランドは推測した。
「あんた、ここから俺を出してくれ」
「悪いがそういう訳にはいかねえんだよ。ここでお前を逃がして万が一のことがあれば、この村に被害が被っちまう。大きな大災害の、な」
あんた、というこの一言だけですぐに反応した。見張りが一人だけだというのはほぼ確定した。他の男たちはどうしたのだろうか、とランドは思ったが、恐らく村の儀式でかり出されているのだろうと推測した。
「なあ、あんた。やめときな」
そんなことを考えていると、見張りの男の方から声をかけてきた。
「何を、ですか」
言われなくても分かっていたがランドは質問した。
「友だちが今回の生け贄に選ばれちまって、それを止めようとしているんだろ? なら、止めときな」
「その儀式を止めることですか?」
「ああ、そうだ」
その男の声はどことなく諦めが入っているようにランドには聞こえた。
それが気になったが男の方から「俺も何人も生け贄になった」と言った。
「初めは自分の肉親、そして何人もの友だちが生け贄になった」
「その時、僕みたいに止めようとは思わなかったんですか」
ランドが静かに問うと男は、はぁ、とため息をついた。
「思った。思ったさ。だけどそうしちゃいけねえことは俺も分かった。おっと、勘違いしてほしくねえが村人の暴力に屈したわけじゃねえ」
「じゃあ、どうして」
「一回、土地神を見たことがある。ありゃダメだ。俺らの誰かが反抗でもして、生け贄を捧げなかったら、あっというまに村は潰されてしまう……俺が、お前の見張りに選ばれたのは、お前さんと同じ気持ちを持ったことがあるからさ」
「そう、だったんですか」
少し、ランドは男の共感した。自分の親、そして友を儀式で失ったのは自分とほぼ同じだったからだ。
「だから止めときな、俺ならお前さんの気持ちが分かる」
ランドは目をつぶった。
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