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血液型はB
僕は妹に聞いた。
「ケイコの仕事は何してるの?年休取っていると言っていたけど、
いつまで休めるの?それと、僕の貯金通帳やお金の在りかが、分からないのだけど、ケイコ知ってないか?」
妹は、何のためらいも無く僕にいう。
「私の仕事はOLです。会社の名前は◯◯商事。一流企業では無いけど、従業員も百人位居るの、立派な会社よ。
上司に事情は伝えてあるから、もう少し休めるわ。
お兄ちゃんの通帳は知らないわ。銀行も知らない。
仕事先も知らない。
どこで働いているか、お兄ちゃん私に言わなかったわ。
私も聞かなかった。」
僕は、妹の言葉に一応納得したが、困った事になったと思った。
銀行も分からず、貯金通帳も無いのであれば、僕は一文無しだ。
おまけに自分の身元を判断する、運転免許証も保険証も見当たらない。
自分は運転出来るのだろうか?自動車に乗れば、身体が覚えているはずだ。
仕事場がどこかも分からない。
此の様な状況ならば、今日会った水島早紀さんに期待する以外に無い。
早紀さんが、私を知っている人を連れて来てくれるのを待とう。
次の日、妹に内緒で◯◯商事に電話で確認を取った。
実際に水原ケイコは存在し、休んでいる事も事実であった。
でも、妹の携帯電話を使った為に、内緒にしていたつもりであったが、直ぐにバレてしまった。
履歴は消した筈なのに、何故バレたかは分からない。
不思議な事に妹は、私を問い詰める事はしなかった。
妹は、どこまで知っているのか?
逆にこちらが不安であった。
その日は、妹と一緒に以前入院している病院に検査の為に出かけた。
病院で松原美樹さんに再会した。
いつもの様に親切にされ、嬉しかった。
看護婦さんは優しい方が、絶対に良い。
こちらが、安心する。
検査の結果は前と変わらず、「異常なし」だが、私にとっては異常ありだ。
ついでに血液型を調べてもらった。
B型だった。
親はAとB型だから問題は無いが、本当にA、Bなのかは調べてみないと分からない。
それと、入院の費用は誰が出したのか?
両親かも知れない!。
後で請求書が回って来るのか?
怖い。お金が無い、どうしよう。
今回の収穫は私の血液型Bだ。
私は誰⁉️その疑問は今も消えない。
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