私は誰⁉️(上巻)

年齢詐称？

大林さんと別れたあと、一人帰り道で考えていた。
大林さんを信じた最大の理由は大林さんが、私より先に
あの将棋クラブに居たことだ。
何者かが、私の後をつけて来たのならば、私より後に入店する事になる。
私は将棋クラブに入店して直ぐに、客を観察した。
大林さんは、間違いなく別の客と将棋を指していた。

部屋に戻ると、妹が夕食の支度をしていた。
エプロン姿が可愛い。
「お帰りなさい。夕食にしますか？、それともお風呂にしますか？
　それとも、、、、。」

何て聞いてくれたら面白いだろうな。勝手に妄想していた。

妹は当然そんな事は言わずに不機嫌そうに言った。

「遅かったわね。良い人出来たの？それとも、早紀さんと会っていたの？」

と、妹らしからぬ、嫉妬を込めて聞いてきた。

「女の人と何か会わないよ。男と会ってきたんだ」

「お兄ちゃん、もしかして、そっちの系なの？」
と、妹は本気で聞いてきた。
(そっちって、どっち何だよ)と言いたい気持をグッと抑えて
ここは、本当の事を言ってはいけない。
きっと、妹は僕の監視役、スパイだ。

「僕、女の人は興味ないんで！」
と、全く本心でない事を言って誤魔化した。

妹はびっくりした表情を浮かべた。
僕の言葉を本気にしてのか、悲しそうにつぶやいた。

「きっと、頭を打って、好みも変わってしまったのね。」

(そんな事ないよ〜ーー。好み変わって無いよ。以前のまま同じだよ)と心の中で叫んでいた。

夕食は、焼きそばだった。
美味しい。そういえば、僕は朝から何も食べていなかった。
コーヒーを飲んだだけだ。
最近ストレスのせいか、食欲が無い。
美味しいさは感じるが、お腹が減らない。
妹に僕の年齢を聞いた。

「お兄ちゃんとは、5歳違いよ。私が3歳の時お兄ちゃん8歳だったもの。だから、お兄ちゃんは26歳」

(ピンポン)と心の中で正解のチャイムを押したが、
妹の言葉が気になる。
単に5歳違いといえば良いのに、何故、妹が3歳の時というのか？

私は妹に聞いた。
「この前、母親から僕の誕生日を聞いた時に
平成6年8月8日と言っていたが、僕の本当の誕生日は
平成８年8月8日。だ、何故母親は子供誕生日を間違えたのか？」

この所を強く追及すると、僕がそちらの人間を疑っているのがバレると思い、ソフトに言った。

妹は焼きそばを食べながら、
「お母さんの言い間違いでしょ。少しボケているから」

と、事も無げに言ったが、しかし少し動揺しているようにも感じた。
妹は、僕の誕生日を誰から知ったのかは、聞いてこなかった。

妹は一体何者？味方か敵か？
妹か、他人か？
疑問は深まるばかりだ。