妹の部屋で

1/1
前へ
/30ページ
次へ

妹の部屋で

ファミレスを出たあと両親は帰って行った。僕は妹の部屋に泊めてもらう事になった。 本当に妹だろうか?妹であるから、私を泊めても気にしないのであろうか? 妹の部屋に入ると、妹は直ぐにベッドに寝っ転がった。 「兄ちゃんはソファーで寝て」と言われた。 時計を見ると午後九時を過ぎていた。 妹は、寝ながら雑誌を読んでいる。 僕は妹に探りを入れてみた。 両親の話だと、僕は平成6年生まれだ。 28歳だ。妹の年齢は、幾つぐらいだろう?見た目は若くみえるが、 2歳下と考えるなら、26歳ぐらいか?  最初から、妹の年齢を聞くのは、やめておこう。 先ずは、母親の年齢を確かめよう。 「ケイコ、お母さん、歳幾つだったけ?」 「うー〜知らないけど、幾つだったかな? 六十歳ぐらいかな」 (親の年齢も知らないのか?) ここは、たたみかけて聞こう。 「ケイコは、幾つになった?」 「幾つに見える?」と雑誌を読みながら答えた。 おかしい、妹が兄に歳を聞かれて、「幾つに見える」と聞く人間がいるのか? キャバクラでキャバ嬢の歳を聞いているのでは、無いのだ。 ここは、チャンスだ。 「二十六歳か」 妹は起き上がり、「失礼ね。そんな、歳では無いよ。もっと若い」 と、少し怒って言った。 私の妹では無い様に思える。顔も似て無いし、私と違って利功では無さそうだ。 ここは、もっと若い年齢で言おう。 「二十一歳ぐらいか?」 「そうよ、去年成人式済んだとこよ。」 僕より7歳下か。仮に母親の年齢を六十一歳にしても、 母親はケイコを四十歳で産んだ事になる。 母親はかなりの高齢出産だ。   「子供の頃、僕とどんな事して遊んだ?」 良い質問だと思った。 7歳違うのだ。普通は同じ様には遊べ無い。変な答えが帰ってきたら、疑いが、確信にかわる。 「う、、うん、よく覚えてない。」 とあっさり、いなされた。 当然であろう。 「ケイコの血液型は?何なの」 「何でそんな事聞くの?」雑誌を読みながら聞いた。 「血液型で性格とか、わかるから、聞いてみた」 兄が妹の性格を調べるのは、おかしな事だ。 本当は血液型で親子関係が判るかも知れないと期待したのだが。 「そんな事は、覚えているんだ。」 と、訝しがったが、 「A型よ、で、私、どんな性格なの」と聞いてきた。 ここは、上手く答えないと疑われる。 「聞いた所によると、几帳面な性格」と 当てずっぽに、言っておいた。 妹もそんな事はどうでもいいのか、雑誌を読んでいる。 「僕の血液型知ってる?」 「知らない」と即答である。 おかしい、兄の血液型ぐらい、普通は知っているだろ。 「お父さんとお母さんの、血液型は?」 この時、妹は雑誌を読むのをやめ、こっちを見た。 やばい、勘付いたか?。だが、僕は平然としながら、口笛を吹いた。 でも、その態度は不自然だったかも知れない。 妹は、少し間を取った後、 「お父さんはA型で、お母さんB型よ。」とあっさり言った。 A型とB型の両親なら、全ての血液型の子供が産まれても不思議では無い。 この子は意外と賢いのかも知れない。油断してはいけない。 「お風呂入るね。」言ってお風呂に行った。やはり、大人になってからは、一緒にお風呂に入ってはいないみたいだ。 携帯電話は置いてある。 連絡を取りに風呂に行った訳では無さそうだ。 妹では、無い様な気もするが、妹の様な気もする。 私は、一体誰⁉️なんだ。 本当に、水原マナブと言う男なのか? と、考えている時、尿意を感じた。 トイレに行くと鍵がかかっている。 妹は風呂に行ったはずである。何故。 そういえば、トイレと風呂、一緒だった。 「早く出て」と、叫んでいた。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加