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episode.1 ナツ 〜夕闇と星河の交わる頃に〜
「きっと諦めてしまえば、幸せになる」
フライングで反則を取られるんじゃないかと思うほど今年の季節は前倒しだ。幾度も反射した日差しの熱が残るオフィス街の夕暮れ、今日も私はこの歩道橋を渡る。
あれからもう10年近くなるのか……高校を卒業して、東京の大学へ。そのまま成り行きのまま入った会社で、今年は「副主任」という肩書きまでもらった。でも、夢の中のように実感が湧かない。多分、私が望んだ世界には来れなかったからだ。心の何処かでずっと引きずっているifの時間は捨ててしまった方が綺麗に笑えるんだろうな……
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