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結局、彼女の音は主旋律からズレたままだけど何処か心地よいハーモニーに変わっていく。和音の響きが揃うに連れて、夜空の星は一層煌めいて、視界全体が星の海のように輝き出した。
「うわあ……」
2人とも思わず声が漏れる。でも私と彼女は別のものに感動したらしい。
「唄、やっぱり上手だねー!」
こんな事、初めて言われた。最初は驚き、数秒後に頬が熱くなるのが分かる。夜で良かったと思うくらいには照れと恥ずかしさで一杯になった。
唄……上手いの、私?
困惑が続く私を余所に彼女は話を続けていく。
「私、ナツとずっと友達になりたかったんだ。
いつも一人で本読んでいるから、どんな子なのか気になっていた……というのもあるんだけど。
前に音楽の授業でさ、先生が弾いた後にそっくりに同じ音を弾いてたじゃん? それを聞いて『どんな魔法を使ったんだろう⁉︎』って思ったの! だから仲良くなってその秘密を教えてほしいな…って思って」
興味津々ってこの事をいうんだな……彼女は星空に負けないくらい目をキラキラ光らせる。秘密と言われてもなぁ……あれは簡単なメロディだったし聞けば分か……
「だから何で分かるの⁉︎ すごくないソレ!」
「え、いや、べ、別に……」
えっと何、何⁉︎ 何でそんなに驚かれるの?
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