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「……そうなんだ」
友達いなかったからなんだろうな……比べる事で初めて自分にしか出来ない事に気づいた。彼女曰く、「きっと魔法だよ」との事。
私、人間じゃないのかな……そろそろフクロウか何かが手紙を運んで来て……って、これはこないだ読んだ本の話。 でも自分にしか出来ない事と聞くと、嬉しさと驚きでドキドキしてくる。
「ああ、だからさっきの唄もズレている風に思ったんだ」
彼女自身も唄うのは得意でよく砂浜で唄っているとの事だったのだが、私の発言のせいで少ししょんぼりさせてしまったようだ。
でも、一緒に唄った時は本当に綺麗な和音だったと思う。ちゃんとハモるような音程に合わせてくれていたし。
「……ねえ、もう一度唄ってみない?」
胸の鼓動がますます大きく響く。星空はとうとう海面へも反射してまるで宇宙に投げ出されたかのような世界を描く。きっと君と唄えば……
「じゃあ、あの唄にしよ!
『ほしまつり』の唄!」
息を大きく吸う。
夜空の闇の中で輝くように。
自然と握っていた手の力を強く、2人の音が綺麗に響くように心を合わせて。
シロ、君との唄を始めようか……
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