リグレット・レター

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こんにちは。あなたが代筆をしてくださる方、ですか?初めまして、神崎詩織です。 ご足労いただき、ありがとうございます。本当は私がそちらにお伺いしたかったのですが、もう足が動かないんです。手も、もうほとんど動きません。 私は、もう長くありません。手足が動かなくなって、心臓がどんどん弱っていって、最終的には呼吸ができなくなって、死んでいく。 ……ああ、そんな顔しないでください。同情や心配をされたくありません。私、今はお医者さんや看護師さんから「若くして難病にかかった可哀想な人」として見られていますけど、少し前まで普通に生活してたんです。学校に通ったり、バイトをして、就職をして、そして恋をして。 もしかして、わかってしまいましたか?手紙を私が書きたい相手。そう、元カレに手紙を書きたいんです。 家族や友達よりも先に元カレなんて、薄情な女だと思っていただいても構いません。……そうですか。そう言っていただけると、どこかホッとします。 私には、兄がいます。兄はとても優秀で、テストでは毎回学年一位で、勉強だけじゃなくてスポーツもできて、教師をしている両親から将来を期待されていました。 でも、私は兄の真逆で、勉強もスポーツもあんまりで、だから、私は両親から見られることはありませんでした。愛されなかったんです。
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