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ふしぎな男の子
ある日、叶太がいつものように羽を作っていると、「何をしているんだい?」と、だれかが入ってきました。叶太は、友達だと思い、あせりました。しかし、見知らぬ男の子でした。「君、だれだい?」「ぼくは、ムーンさ。まぁ、仮名だけどね。」「仮名、本名は?」「翼さ。だけど、ムーンって呼んでね。」「どうして?」「君も知っているだろ、スウィート。スカイオーナー。弟子になった子たちは、仕事用の仮名をつけられるんだ。弟子でない子と、本名で呼び合ったりすると、ものすごくしかられるのさ。」「君、スカイオーナーの弟子?」「そうさ。」「後ろを向いて。」「やっぱり、羽が生えてる!」
ムーンは、後ろを向きながら言いました。「ぼくは一番弟子でね。他にもたくさん弟子はいるんだけど、一番扱いがなれているのか、空を飛ぶことに夢見る子がいたら、「様子を見てこい。」って、いつもぼくが言われるんだ。でも、大切な仕事だから、信用してくれてるのかな。」ムーンは、前を向くと、うれしそうな、困ったような、ふくざつな笑みをうかべました。
「ぼくも、ムーンみたいになりたい。」「そうか、じゃあ、今日の夜、夢でまた会おう。」そういうと、ムーンは行ってしまいました。
(ムーン、ふしぎな子だったな。)そう思いながら、叶太は再び、羽を作り始めました。
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