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第2章 母の告白
母さんはずっと1人だったのよ
産まれて、直ぐに養護施設の前に
捨てられていたからね
早く大人になって
暖かい家庭を創るのが夢だったのよ
18才になると施設は出なきゃだから
工場に就職して小さな部屋を借りたの
職場とその部屋の往復ばかりが
何年も続いたわ。母さんもあなたと同じ
いつも部屋の窓から眺める星空だけが
話し相手だったの
あれは1982年の春の夜にね
3月10日だったわ
国中が自由を叫び反米に揺れてた頃
1月に夜の外出が許されていたから
母さんは広い星空が見たくて
真夜中散歩をしてみたの
見慣れた街も夜には全く違う感じで
凄く新鮮だったわ間もなく夜明けの頃に
川沿いの芝生に、寝転んで
星を眺めていたのよ
小さな頃のあなたと同じ様にね
そうしたら明けてく空と地面が揺れたの
太陽が驚く明るさで輝いた瞬間にね
空の切れ間から何かが舞い降りてきたの
母さんは身動き出来なかったの
ただ見つめてるだけだった
引力に逆らうみたいなゆっくりなスピードで
何かは確かに母さんに向かって舞い降りたの
母さんは泣きながら怖かったとかじゃない
なぜか涙が溢れていたの
立ち上がり両手を広げて
小さな何かを受け止めたの
七色に輝く美しいカプセルだった
ほんのり温かくて楕円形だった
太陽がすっかり登っていつもと違う
輝きと暖かい感じがしたの
陽の中でカプセルが突然消えたら
小さな赤ちゃんが現れたの
それがあなただった
あなたは太陽の中から産まれてきたの
だからお父さんは居ない
母さんはあなたが星を見るのが
凄く怖かったの、だから見て欲しくなかった
いつか連れ戻されるんじゃないかと
母さんはあなたを失いたくなかった
でも、あなたは何も話さなくても
空や星や宇宙に惹かれていくから
いつかは、ちゃんと話そうと
こんな最後になってごめんなさい
でも、今の貴方なら、解るはず
1982年3月10日
惑星大パレードのあったあの明け方だから
母さんには真相は解らない
でもあの日私は確かにあなたを受け止めた
ずっと幸せだっわ
夢に見た 暖かい家庭だったのよ
忘れないで あなたは太陽の子供よ
誰がなんと言おうとも
母さんは信じていたの
この先はあなたが調べてみて
自分のアイデンティティーを全てを
笑って話終えた母さんは
僕を引き寄せて
優しいキスをした
涙が溢れて止まらなかった
優しい母さんは星になったかな?
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