騙し屋の道程

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 伊藤と日曜日に喫茶店で会った。私は世間話をしながら外をぶらぶら歩いてみたいと提案した。勿論、家屋に行くためだ。 「伊藤さん。手を繋いで外をぶらぶら散歩しない?」 「天気がいいですから、それはいいですね」  私は外を歩きながら家屋を目指した。いつものように異国人が二人いたけど、私がそこで困ったふりをしていると、伊藤が話して中に入れた。日本語ではないので何を話したのかわからなかった。  私はこんなに簡単に中に入れるとは思ってなかった。それが逆に怖くなったけど今更後に引き返せない。  中に入ると家屋の中には何にもなかった。ただの狭い埃まみれの部屋だった。後ろに控えていた伊藤が前に出て何も変哲がない壁を五回ノックした。  すると中から声が聞こえて驚いていると伊藤がまた何か話して壁が開いた。壁のように見えたのは隠し扉だった。私が躊躇していると伊藤に声をかけられた。 「この先に行きましょう」  普段の伊藤とは違う冷たい声だった。私がこの家屋に行きたかったのを察していたようだ。予想できない事態が次々に起こって頭の中の整理がつかなかった。  先に進むと地下に進む階段があった。古びた長い階段を降りると、そこは真っ暗な部屋だった。外の音が全く聞こえなくて別世界に放り込まれたような感覚になった。  伊藤が後ろからランタンを持って現れた。私の目の前の机にランタンを置くと、壁に地図が描かれているのが見えた。
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