1/1

17人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ

いつもと変わらない平日の朝。 夫と息子の将太を笑顔で送り出し、家事に取り掛かる。 洗濯機を回している間に、食器を洗い、掃除機をかける。 床拭きは床材が痛むので、月に1回。今月は5日前に済ませている。 玄関掃除を済ませてから、ほっと一息。コーヒーを飲みながら新聞を読む。 そうすると、飽きてくる頃に洗濯機が終わりのメロディーを奏でるので、それから洗濯物を1枚1枚しわをのばしながら物干しへ干していく。 それから、アイロンと専用の台を用意して、サブスクの動画配信サイトを起動させる。 夫のワイシャツにアイロンをあてながら、お気に入りの韓国ドラマ吹き替え版で鑑賞。 ここが大事。 出来ることは、同時進行で。 韓国ドラマは好きだけど、吹き替えじゃないと作業しながらは見られない。 そういう事で、もっぱら吹き替えで見ていたら、吹き替えの声にハマってしまうという有様だ。 ゆっくり楽しむぞと思って腰を下ろすと、隣の家が外壁工事をしているトントンカンカンする音が激しくなってきた。 仕方がないので、ワイヤレスイヤホンを使うことにした。 すると、イケボがすぐ耳元で… これがいけなかった。 目に浮かぶのはあの日のイケメン先生。 やっぱり似ている… 『初めて君を見た時、胸が高鳴ったんだ』 『愛してる』 などと、甘い言葉が次から次へと囁かれ、ぞくぞくと内なる何かが湧きあがってくる。 北村先生は、どんな風に女性を抱くのだろう… この日の夜、私は北村先生に抱かれる夢を見た。 夫が眠るそのすぐ隣で。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加