深夜の出来事

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深夜の出来事

足がまた腫れたら嫌なので、この日、お風呂はシャワー程度で済ませた。 なんだかとっても疲れたので、早めに休むことにした。 私たち夫婦の寝室には、シングルベッドが2台。 ベッド同士の間には床頭台があり、そこに読書灯を置いている。 なので、寝るときは別々だ。 3年前にこの家を新築し、将太専用の子供部屋も作った。将太はそれが大変うれしかった様で、引っ越し初日から『自分の部屋で1人で寝る』と言って、川の字から卒業したのだった。 その時から、私たち夫婦もこのスタイルになった。 「ん…」 いつもは、夜中に震度3くらいの地震があったとしても、朝までグッスリの私なのだが、どういうわけか目が覚めた。 足が痛かったせいもあるのかもしれない。 いや、そうじゃなかった。 暗闇の中、何やら、夫の布団がゴソゴソと動いている。 「はぁはぁ…ぅ…あっ…」 ま、まさか! 夫が自慰しているなんて!! 私は、目覚めてしまっていることを悟られないように、息を殺して寝たふりをする。 今までも自分でしていたのかしら? しているよね、8年間全く無いことなんてあり得ないもの。 でも、隣に私がいるのに…いつも誰を思って… あれ?私ってば、どうして今まで疑わなかったのだろう? 夫の浮気。 いや、でも、いつも直帰だし、土日は1人で出かけるなんてことないし… 職場の付き合いくらいで飲みにはいくけど… まさか、その時に? 夫の荒い呼吸を聞きながら、1人想像を巡らす。 息があがって、絶頂を迎えようとしている夫の横で、私はやり場のない怒りと悲しみに襲われる。 「はぁ…あ…あゆむ…うっ…」 夫は絶頂を迎えた。 私の名前を呼んで。 え? ちょっと待って… どういうこと? シュッシュっとティッシュを取る音がして、「はぁ…」とため息が聞こえる。 隣に私がいるのに、1人で、しかも私で抜いたの? 確証もない夫の浮気への怒りも悲しみも、みるみるうちに消え、混乱した。 そんな私を他所に、夫はスースー寝息を立てて眠ってしまった。 私は、朝まで一睡もできなかった。
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