遠いからこの愛を送ろうかと

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 なるほど、そんな計画が有ると聞いたことはあった。自分にはあまり関係のないことだと思っていた。  知ってはいたのだが気にしてない。そんな程度のことだった。それでも今は良さを解る。  なので納得するが、文面の続きを読んで目を疑った。 「星影観測隊より」  地球の管制官からではないだろうメッセージとしての文面。しかし、それは懐かしい響きだった。 「こんなのを知ってるのは、彼女くらいなのに」  信じられないからつい言葉になっていた。これは昔彼女が話したこと。知っているのは僕と彼女だけの筈。  心臓が痛いくらいに驚きながらもメッセージの続きを読む。 「お久しぶりです。覚えてますか? まだ宇宙が好きだったんだね」  もう名前がなくてもそのメッセージの相手が彼女だと解った。 「まさか、本当に」  それでも信じられない僕はディスプレイに向かって話す。そして手紙を見た。  僕が彼女を思い出したときに、彼女にも僕が居たのかと思う。とても嬉しかった。 「一つ伝えたい有るので帰るのをを待ってるね」  文面は終わってそこに名前もあった。ちゃんと彼女だった。  通信本文には彼女が新型宇宙望遠鏡の責任者だと言うことが記されていた。簡単な道ではない。彼女もずっと星を追い続けていたんだろう。そんなことも僕の喜びとなる。  僕はもうこの手紙を捨てるなんてことを考えてなかった。別に彼女の話がどうだって良い。やはり伝えるべきなんだ。  だけど、その時に窓のほうには向かえない。もしかしたら望遠鏡はまだ僕の宇宙船を見ているかもしれないから。  今の僕は泣いている。だけど、それを誰かに知らせる事はない。彼女にだって。 「こんな顔なんかを現わせられる筈が無いから」  深くなるくらいにこんな弱く呟いてた。 おわり
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