よしおくんとケルベロス1

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よしおくんとケルベロス1

 よしおくんは、公園へ遊びに行きました。  しかし、公園の入り口には、大きな黒い犬がいました。  犬は、自動車ぐらいの大きさがあります。そして、頭が3つありました。  右側の頭は、よしおくんをにらんでいます。  左側の頭は、眠っています。  そして、真ん中の頭が、よしおくんに話しかけてきました。 「俺は地獄の番犬、ケルベロスだ」 「ぼくは、よしおです! こんにちは!」 「む? 礼儀正しい子供だな。こんにちは」 『こんにちは』というあいさつにビックリして、左側の頭が目をさましました。 「なんじゃ? もうお昼か!? ごはんは、まだかね?」  真ん中の頭が応えます。 「さっき、食べたばかりだろう。もう少し、ねていなさい」 「そうじゃったかのぅ? うーん……」  そうつぶやくと、左側の頭は、また眠ってしまいました。 「さて、よしおとやら」  ケルベロスの真ん中の頭は、よしおくんに向き直ります。 「この入り口の先へ、行きたいのか?」 「うん!」  よしおくんは、公園で遊びたかったので、すぐに返事をしました。 「ダメだ。おまえを通らせるわけには、いかない」 「どうして?」 「おまえが、まだ生きているからだ」 「ガウッ! ガウッ! ガウッ!」  右側の頭が、よしおくんに向かって、はげしく吠えてきました。  そのいきおいで、左側の頭も目を覚まします。 「ぬぬ? ごはんかね?」 「うわっ! 食べられちゃう!」  よしおくんは、大あわてで逃げ出しました。 <つづく>
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