最後の年賀状

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仕事から帰り、アパートのポストを開けると、大抵は投げ込みのチラシしか入っていないが、今日はハガキが一枚含まれていた。私はチラシといっしょに雑に掴んで取り出すと、エレベーターのボタンを押し、待っている間に先ほどのハガキに目を通した。目立つ「喪中」の文字。もう喪中が届く時期か、そろそろ年賀状買わなきゃなどと考えながら読み進めていると、内容がなんだかおかしい。 『喪中につき年末年始のご挨拶をご遠慮申し上げます 本年十二月に私麻里奈は二十九歳にて永眠いたしました 生前に賜りましたご厚情に深謝いたします 令和四年 十二月 福本 麻里奈』
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