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★ 前編
キュィーーーーーーン!
暗黒の宇宙に一筋の閃光が走る。
キュルルル〜〜〜〜!!
宇宙空間に高速で動く物体が急に速度を落とした。ピタリと制止する帽子型宇宙船。
船内は薄暗く、微かな機械音しかしない。メインルームのスクリーンには青く美しい地球の姿が映っている。
操縦席にもたれ、その姿をじっと見つめている一つの影。大きくて丸い目だけが異様な光を放っていた。
「ククク、あれが地球か………」
☆☆☆
地球………。
二十二世紀を間近に控え、宇宙開発がさらに活気帯びてきた。
数基の国際宇宙ステーションと月面基地が建設され、一般人でもスペースシップを利用とした宇宙旅行が楽に行えるようになっていた。
アポロ時代は月に到着するまで、三日と少し時間がかかった。今は半分で済むようになっていた。
今まで月面に小さなモジュールを寄せ集めた集落的なものはあった。今回は月の表と裏の間に地球と同じような建造物を作り上げた。
厶ーンシティー。
文字通り、月の表面に街を作ったのだ。二酸化炭素から空気を、循環式に水を精製し、植物を育てる環境を整えた。今や千人が地球に似たような生活が送れる街が完成したのである。
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