最後の親友

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最後の親友

木枯らしが吹き冷たい風が頬を撫でる。木の葉は枯れてしまい宙を舞い落ちる。私の髪は劣化して剥げ落ちた。そんなお年頃である。 寂しくなったものだ。歳をとれば体の自由も効かなくなってしまうし昔馴染みとは会えなくなるわで。周りの環境は常に変わってしまう。 今、公園のベンチに座っていても実感する。子供の頃には確かにあった公園横の雑木林は無くなり今や住宅街と化している。 「懐かしいもんだ。あの雑木林ではよく遊んだ。だが、あの頃の景色を見ることはもうできないんだなぁ。」 ー・ー・・ ・ー・・・ ・・・ー 「なぁ(まさる)、すごいもん作ったんだぜ。ちょっとついてこいよ。」 突然と家に来るや否や僕の手を掴み走り出す。 「どこに行くんだよ。」 「まぁまぁ、着くまでのお楽しみだね。黙ってついて来なって。」 僕は孝志(たかし)に手をひかれるがままについていった。 少しして着いたのは馴染みのある公園だった。すべり台にブランコ、砂場。それほど大きい規模ではない公園。 「ここの公園、横に雑木林があるだろ。今から雑木林を探検する。隊長の俺に着いてくるように!」 「了解しました。孝志隊長。」 僕は敬礼をした。 孝志が嬉しそうな表情でこちらを見ている。 「お、ノリが良くていいね。やっぱり勝はサイコーだよ。」 枝のパリパリと軋む音、蝉の鳴き声。枝を踏んだ時にするパリパリとした音が僕には快感でたまらなく好きだ。癖になる。 やがて木に掛けられたブルーシートが見えてきた。 「着いたぞ、勝。秘密基地だ。俺が作ったんだぜ。」 秘密基地の造りは簡単なものだったけれどロマンがありいい。 「凄いな孝志。秘密基地を作っちゃうだなんて。」 「せっかくだから今日はここで遊ぼうぜ。」 「でも周りは木で囲まれてるし何をして遊ぶのさ。」 地面にしゃがんで孝志は枝を持った。 「周りに木しかないなら木を使えばいいんだよ。ほら枝がたくさん落ちているだろ。チャンバラごっこでもしようや。」 「そうだね。丈夫そうな枝を探してくるよ。ここで待っていて。」 「おうよ」
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