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「若頭のハヤシと申します、すべては俺がオヤジに黙ってやったことです! 本当に申し訳ありませんでした!」
土下座しているのと声が大きすぎるのとで、ようやく言葉の意味が取れるほどの声を出すハヤシに呆然としかけて、ケンは気を引き締めた。ササキが言うことが本当であればなおさら、ケンの仕草のいちいちを、ササキは注意深く観察しているはずだ。
「そういうことだ」
ササキはうっすら笑みを浮かべてケンを見た。
「ハヤシさん、頭を上げな。どういうことなのか詳しく聞かせてくれ」
ちらりとササキを見ると、ササキはまっすぐにケンを見ていた。笑みを深めてうなずく。
まだだ。まだ信じられない。確かに今回組織は多少のダメージを受けた。シュウも撃たれた。だがそのダメージに対して、傘下に入るというのはあまりに話が大きすぎ、落とし前としては見あわない。そう思う。
「ちゃんと時系列通りに詳しく話せよ」
背後からかけられた声にうなずき、ハヤシはじゅうたんに手をついたまま話し始めた。
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