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目の前に横たわる黒く焦げた塊を娘だと説明されても、全く実感が湧かない。
朝、普段通り、卵焼きと唐揚げ、ウインナーが入った弁当を手作りし、「いってらっしゃい! 気を付けて」と送り出してくれた陽奈子が、この塊だとはどうしても信じられなかった。
一人、葬儀を終えてからも、その感覚は変わらない。
茫然としている理由は、死を受け入れられないからではなかった。
この先、どうやって生きていけばいいのか。
娘を失ったと同時に、秀作は自身の存在意義すらなくしてしまったのだった。
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