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人魚姫
『こうして、哀れな人魚姫は海に身を投げ、泡となって消えてしまいましたとさ』
昔から、2人で何度も読んだ人魚姫の物語。幼い私たちには衝撃的だったエンディングだけれど、王子を殺めることができずに彼の幸せを願って泡になった人魚姫を、私はとても美しく感じた。
「もし都が人魚姫だったら、風太くんはどうする?」
「おれが王子さまなの?」
「うん! 都の王子さまは風太くんだよ!」
「えへへ、嬉しいな。そしたら、都とずっと一緒にいるよ」
「ほんと? 王女さまのところに行ったりしない?」
「行かないよ。おれはずっと都のところにいる」
「嬉しい! 約束だよ!」
小さな小指と小指で指切りをして、約束を交わしたあの日。
ずっと2人で一緒にいよう。
そんな約束だと、思っていたの。
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