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学校のホームルームの時間、昨日、瑠璃お兄ちゃんが持ってきた僕らにょんたんずにあてた伊織先生の手紙を開く。担任の瑞希先生は大体遅刻してくるから問題はない。
「翡翠、伊織先生から何のお手紙?」
フーフーはワクワクしているようだが、スイスイは真顔だ。僕ら、にょんたんずは周りの大人たちに伊織先生に一番気をつけるんだよと言われているのだ。
「モデルとかの依頼なら断らなきゃ……」
スイスイはまだ真顔。伊織先生は僕らにモデルをやらせたがっているが、それも周りの大人が阻止している。瑠璃お兄ちゃんいわく、お父さんは安全なへんたいだけど、伊織先生は危険なへんたいだからだそうだ。
「モデルの依頼じゃないみたい。ひな祭りパーティの招待状だよ。だから、瑠璃お兄ちゃん、この手紙渡してくれたんだ」
「パーティかぁ。何回か伊織先生主宰のバースディパーティ行ったけど、美味しいもの沢山あったなぁ」
フーフーの気持ちはもう揺れている。
「伊織先生、何か企んでるんじゃ?」
スイスイの危機感は高い。
「大丈夫じゃない? パーティならみんないるし。ほとんどが僕らの味方だもん」
なんて話していると教室の扉が開く。
「ごめんね! 昨夜推し活やりすぎて寝坊しちゃった! テヘッ!」
瑞希先生は朝からテンションが高い。というかいつもテンションが高い。こういう人を人生楽しんでいる人って言うんだろうな。
「おやおや。にょんたんず、何見てるんだい? 今日も可愛く女体化しちゃって!」
瑞希先生は、安心できる先生だけど、お父さんの同じ匂いがするからうっかりには気をつけなければならない。ただ、招待状のことは話しても大丈夫だ。
「瑞希先生、伊織先生からひな祭りパーティの招待状届いているんですけど、一緒に行きません? やっぱり担任がいれば安心だし」
「翡翠くんぐっど! にょんたんずの保護者なら喜んで行くよ! 更紗もいるだろうし!」
瑞希先生と更紗お姉ちゃんは友達だからこそ快諾してくれたのだろう。何気に瑞希先生もバースディパーティには、しょっちゅう顔を出してるし。
これでちょっとは安心できる。僕はそんなに心配してないけど、こういう手を踏まないと瑠璃お兄ちゃんの心配性が爆発するから致し方ないのだ。
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