お雛様争奪戦再び♪

3/5
前へ
/5ページ
次へ
 パーティは穏やかに始まった。美味しい料理にジュースにスイーツ。みんなで和気あいあいなんだけど、一つ気になるものがある。間違いなくひな壇なんだけど、とてつもなくデカい。その上、ひな人形がないのだ。 「やっぱりアレかなぁ?」  更紗お姉ちゃんがひな壇を見上げながら呟いた。 「更紗お姉ちゃん、アレって何?」 「多分すぐ分かるよ」 「はーい! 勘のいいみんなは気付いているね! 久しぶりのお雛様争奪戦だよ!」  突然、伊織先生がマイク片手に喋りだす。 「いいかい? パーティとは勝負なのだよ! 以前やったように勝負に勝ったものにはお雛様の衣装をあげよう! 売るのもOK、飾るのもOK! 私がよーいどんと言ったらゲームはスタートする! 勝負の方法は勝負を仕掛けたほうが決める! 負けたら失格! 最後まで残っていたものがお雛様衣装を獲得だ! ちなみに今回はほんもの女子も参加できるし、男性陣はお内裏様の衣装争奪戦だ! ちなみに私はお内裏様争奪戦に参加する!」   なんか始まった……。僕ら、にょんたんずはざわついているのに他のメンバーは普通の顔をしている。 「瑠璃お兄ちゃん……、なんで普通の顔してるの?」 「え? だって、いつものことだし」  いつものこと!? 瑠璃お兄ちゃんたち、いつもこんなことやってんの!? これ、お仕事なの!? 「翡翠くーん、頑張って! 先生、頑張ってお内裏様頑張って獲得するから!」  伊織先生がそう言った瞬間、他のみんなから燃え上がるオーラが見えた。 「伊織先生だけには、お内裏様を取らせるな……」  タッくんの発言に皆が頷いていた。 「翡翠どうしよう……? 俺、ついていけない……」  フーフー、僕も何が何だか分からないよ。 「いいじゃん。勝っても負けてもゲームでしょ?」  こういうときのスイスイは頼もしいなぁ。どうして、みんなで伊織先生を敵視するか分からないけど。  お内裏様争奪戦には、伊織先生、お父さん、大さん、徹さんが参加する。残りのメンバーはみんな、お雛様争奪戦だ。 「みんな! にょんたんずを勝たせるな!」 「えぇ……」  瑠璃お兄ちゃんが大人気ないことを言ってる。みんな、目の本気度が違うし……。やっぱり伊織先生が危険なへんたいだから?
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加