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パーティは穏やかに始まった。美味しい料理にジュースにスイーツ。みんなで和気あいあいなんだけど、一つ気になるものがある。間違いなくひな壇なんだけど、とてつもなくデカい。その上、ひな人形がないのだ。
「やっぱりアレかなぁ?」
更紗お姉ちゃんがひな壇を見上げながら呟いた。
「更紗お姉ちゃん、アレって何?」
「多分すぐ分かるよ」
「はーい! 勘のいいみんなは気付いているね! 久しぶりのお雛様争奪戦だよ!」
突然、伊織先生がマイク片手に喋りだす。
「いいかい? パーティとは勝負なのだよ! 以前やったように勝負に勝ったものにはお雛様の衣装をあげよう! 売るのもOK、飾るのもOK! 私がよーいどんと言ったらゲームはスタートする! 勝負の方法は勝負を仕掛けたほうが決める! 負けたら失格! 最後まで残っていたものがお雛様衣装を獲得だ! ちなみに今回はほんもの女子も参加できるし、男性陣はお内裏様の衣装争奪戦だ! ちなみに私はお内裏様争奪戦に参加する!」
なんか始まった……。僕ら、にょんたんずはざわついているのに他のメンバーは普通の顔をしている。
「瑠璃お兄ちゃん……、なんで普通の顔してるの?」
「え? だって、いつものことだし」
いつものこと!? 瑠璃お兄ちゃんたち、いつもこんなことやってんの!? これ、お仕事なの!?
「翡翠くーん、頑張って! 先生、頑張ってお内裏様頑張って獲得するから!」
伊織先生がそう言った瞬間、他のみんなから燃え上がるオーラが見えた。
「伊織先生だけには、お内裏様を取らせるな……」
タッくんの発言に皆が頷いていた。
「翡翠どうしよう……? 俺、ついていけない……」
フーフー、僕も何が何だか分からないよ。
「いいじゃん。勝っても負けてもゲームでしょ?」
こういうときのスイスイは頼もしいなぁ。どうして、みんなで伊織先生を敵視するか分からないけど。
お内裏様争奪戦には、伊織先生、お父さん、大さん、徹さんが参加する。残りのメンバーはみんな、お雛様争奪戦だ。
「みんな! にょんたんずを勝たせるな!」
「えぇ……」
瑠璃お兄ちゃんが大人気ないことを言ってる。みんな、目の本気度が違うし……。やっぱり伊織先生が危険なへんたいだから?
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