Dearest Friend

13/13
52人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
 自分だけなら、例え誰に貶されても蔑まれても平気だと思っていたけれど、もし今、大和に軽蔑されたら立ち直れる気がしない。  大和は急に鋭い目つきになった。息を呑む。 「なんでやねん。気持ち悪ないわ」  怒ったような強い口調で大和は言った。ワタクシは戸惑いを隠せなかった。 「え、、本当に気持ちが悪いじゃない? 友達やめないですか」 「当たり前やろ。ゲイでもレズでも外国人でも同じ人間やし、関係ない」  太陽が照りつける暑い夏の午後だった。パラソルの下で日に焼けたくないと嘘をついて長袖を着ていたワタクシの目は潤んでいた。 「アリガトゴザイマス」 「礼言うようなことちゃうやろ」 「でも、みんなGayは気持ちが悪い言うだから」 「面と向かってそんなこと言う奴は論外としても、理解できん人がおるのはしゃあない。みんなに受け入れてもらうのは多分無理や。けど、ゲイやろうと何やろうとパオはパオやねんから、気にすんな。俺は気にしやん」 『ゲイやろうとパオはパオ』これこそ、長い間ずっと探し求めていた言葉だと、彼の声が鼓膜を振動させた瞬間にわかった。  心が震えるとは、このことかと思った。 「まあ、とりあえずかき氷食おや」  涙目のワタクシに気づかないふりをして、大和は立ち上がった。太陽を背に、座っているワタクシに大きな手を差し出している。二人分笑い、その手を掴んで立ち上がった。 【終】
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!