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日本は治安がよくて、日本人は親切で礼儀正しいと思っていたが、実際はイメージとは少し違っていた。差別も偏見もいじめもある。子どもの頃から好きだった漫画やアニメを生み出した国に憧れてやって来たけれど、所詮はフィクションだったのか。
いじめられるために日本に来たわけじゃない。後悔しかけたとき、大和が現れた。
背が高くて体格が良いうえに、いじめていた誰よりも人相が悪く、最初は彼らのリーダーが来たのだと思った。
彼は黙って四人を突き飛ばすと、こちらに近づいてきた。鋭く尖った目を見て殺されるのではないかと震えていると、彼は名偵探柯南のように眼鏡を光らせて「あんた、甘いもん好きか」と聞いた。意味がわからなくて首を傾げる。
「甘いもんじゃ通じんのか。えっと、中国語わからんな。Do you like sweet things? てか、英語通じんかな」
英語を話した驚きよりも、この状況で大丈夫か聞く前に甘いものが好きか聞かれたことに驚きを隠せなかった。きっとクレイジーな人なんだと思った。これは何かのテストなんだと。
格好良い登場もセリフもなかったけれど、見て見ぬふりをしない日本人は彼だけだった。
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