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ゆうれいの願い事 12
マジか琉生。
死んでからも俺につき合ってくれんの、おまえ。
わざわざ幽霊になって、夜中に会いに来てくれる、って、そういう話だろ、これ。
どこか楽し気に、まるで、もう今から死ぬのが楽しみ、って感じで、不謹慎なことを「いいこと思いついた」みたいに語るから。
まさか、不穏なことでも考えてんじゃねえだろうな、と心配になる。
だから俺は、そんなに急がなくていいから、せいぜい長生きしろよ、って思って、そう願って、胸が苦しくなって、華奢な体をぎゅうっと強く抱き締めた。
珍しく、本当の本当に滅多にないけど、琉生も俺の背中に腕を回して来たので思わず驚いてしまう。
何かわかったのかな、少しくらいは伝わったりしたのかな、さっきの。
ただの、いつもと違う、軽いキスだけで。
そんなことを考えながら、琉生の頭を自分の胸に押し付けて、肌と肌がぴったりと隙間なく合わさっているのを、幸福ってこういうやつ?なんてバカみてえなこと思ったりしてた。
俺のそんな胸のうちを知ってか知らずか、琉生がでかい口を開けてあくびをした。
なあ、琉生。
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