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ゆうれいの願い事
二人でだらだらとしていた。
今日と明日は親父は仕事で、どうせ誰も帰って来ねえからって、琉生のことを家に呼んでめいいっぱいイチャコラしようって思って、実際好きなだけイチャコラしてた。
朝方の、淡い琥珀色が東の空の方をまあるく覆い始めている中、この部屋の窓の外だけはまだ夜でいてくれてる、そんな時間帯。
くたびれた琉生が俺のベッドでへばってんのを、横に寝っ転がって、少し傷んだ色を抜いた髪を指先で梳いてぼんやりしていた。
春だとは言え、朝方はまだ肌寒いので、布団で琉生の骨ばった肩を隠して、首筋に唇を埋める。
鼻先と唇で凹む皮膚のぬくもりはいつもと変わらずあたたかいけれど、俺たちは進路がまるで違うから、こうして頻繁に会えるような日々も少しずつ減って行くんだろう。
そんな予感に、もう一度くらいイチャコラさせてもらおうか、と、琉生がキレ散らかしそうなことを考えていた。
あーあ、普通にやだな、なんて思ってた。
いやさ、頑張るよ俺だって。
こんなん言ったらアレだけど、なんかはっずいけど。
でもさ、頑張って一生懸命働いて、自分で自分が生きてく為の金稼ぐのって、今まであんま考えたことなかったけど。
当たり前なんだろうし、実際それこなして、男手一人で子供養ってる親父みてえな男とか、悪くねえじゃんって思ったりして。
すげえことじゃん、カッコいいんじゃねえの?
言わねえけど、絶対。
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