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スイーツ
そういえば確か、昨夜、モンスターペアレンツの海部ツヤの屋敷で戴いたスイーツが冷蔵庫にあったはずだ。教師というよりもホストみたいな扱いだった。
ボクはアイスコーヒーとスイーツを持ってリビングへ戻った。
「どうぞ。貰い物のスイーツですが」
彼女の前に置いた。
「おおォ、ご機嫌だな。小次郎。あとで『ヌルヌルマット洗い』で快楽地獄を楽しませてくれよう」
「どんな快楽地獄ですか?」
なんとなく体験したくなってしまった。
「ひとたび、お蘭の『地獄殺法ヌルヌルマット洗い』の洗礼を受けた殿方は、もはや骨抜きになり、お蘭なしでは生きていけない身体になるのじゃ」
「どんな危険極まりないマット洗いですか?」
なにをする気なんだ。この子は。
「フフゥン、いただきマンゴー」
なんとも際どい掛け声とともにフォークを掴みスイーツを食べ始めた。
黙ってスイーツを頬張っていると可愛らしい。
「ウッフフ、美味しいね。小次郎」
ニコニコと笑った顔はキュートだ。
「そうですか。良かったですね」
機嫌が直ってホッとした。
「ごちそうサマーフェスティバル」
お蘭はペロリとスイーツを食べてしまった。
「ええ、どうも……」ボクも笑顔で応えた。
しかしお蘭の様子が少し可笑しい。
「ちょっとおかしいわ」
「えェ、どうかしましたか?」
「フワァ……」
お蘭はあくびをすると立ち上がりフラフラしてボクの胸元へ倒れ込んだ。
「ああァン……」
「ど、どうしたんですか?」
慌ててボクは彼女を抱き止めた。
「変なの。ううゥ……、小次郎。さては眠り薬を仕込んだな」
「眠り薬? まさかボクがそんな事をするはずがないでしょ。あッ!」
そうか。貰ったスイーツの中に睡眠薬が仕込んであったのだろうか。
モンスターペアレンツの海部ツヤから戴いたスイーツだ。
「うッうゥン……」
文句を言いながらもお蘭はボクの胸の中で眠ってしまった。
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