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セクシー忍者
「お願いですから、ちょっと待ってください!」
ボクは彼女を抑えるのに必死だ。ケンカや揉め事など苦手だ。出来ればしたくない。
「黙れ。お蘭は待つことと濡れ場で脱がない近頃の美人女優が大嫌いなタイプのセクシー忍者だ」
「どんなタイプですか?」
「お蘭なら喜んで脱ごう。作品のためならば」
「どこのアカデミー主演女優賞を狙っているんですか」
最近、あまりにも暑いので頭のネジが緩んで可笑しくなったのだろうか。
「ええェッと、伊賀の蘭丸子さんでしたよね」
「お蘭と呼べ。伊賀のお蘭だ」
「いやァ、お蘭さん。なにか勘違いされているようですが、ここは道場ではなくて普通の民家なんですよ。古い日本家屋なんです」
何とか早口で説明した。これで解ってくれただろうか。
「なにを。不敵なヤツだな。この際、道場か、道場じゃないかは、さしたる問題ではない」
「いやいやァ、どう考えても一番の問題でしょう。道場破りが道場じゃないトコで刀剣を振り回して何をするんですか?」
「笑止。お蘭は好き勝手に屋敷に上がって道場破りをする。そういうアグレッシブなタイプのセクシー忍者だ」
「どんなアグレッシブなタイプですか?」
何なんだ。まったく話しが通じない。大丈夫なのか。この美少女は。
「ゴチャゴチャ言うな。お主が甲賀の忍びであることは先刻承知だ。いざ尋常に勝負しろ」
「え、甲賀って。ボクは空牙ですよ。空牙小次郎です」
「フフゥン、うつけ者め。甲賀忍者がそうやすやすと自ら忍者だと告白するか」
「ううゥ、だって、お蘭はセクシー忍者だと自分で言ってるじゃないですか」
「フフゥン、セクシー忍者は別のアグレッシブなタイプの忍者だ」
鼻で笑ってツンとした。
「なんだそれ?」
どんな積極的なタイプの忍者だ。
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