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四次元オッパイ
「ぬウゥ、贅沢なヤツだ。甲賀忍者のクセに」
「いやいやァ、甲賀忍者じゃありませんよ。ボクは空牙です。空牙小次郎ですよ!」
「そんなに文句があるならよかろう。オーソドックスに刀剣はどうだ。今、流行りの刀剣男士だ」
また胸の谷間からスルスルと長い刀剣を出してきた。
「いやいや、どんだけ長い刀剣を出す気ですか?」
あ然として見つめるだけだ。
「フフ、さァこれで心置きなく果たし合いが出来るじゃろう」
ボクに刀剣を押しつけてきた。
「できませんよ。果たし合いなんて。何度も言いますが、ここは普通の民家なんですよ。道場じゃありませんから!」
「関係ない。道場であろうとなかろうと。お蘭はいつなんどき誰とでも闘う準備が出来ている。いざ尋常に勝負しろ。甲賀の残党が」
ついにセクシー忍者お蘭は背中の刀を抜いた。ギラッと刀身が光りを帯びていた。
「いやいや、何を言ってるですか。警察を呼びますよ」
マジか。真剣なのか。
慌ててボクは飛び退いて距離を取った。こうなったら逃げるしかない。
「何を。臆したか。甲賀忍者ともあろうものが!」
「そりゃァビビるだろう。朝っぱらから、急に玄関に現われて、真剣を振り回されたら」
「お蘭は朝っぱらからアグレッシブに真剣を振り回すタイプのセクシー忍者だ」
ズカズカと屋敷へ入り込み刀剣を振り回し始めた。
「どんなタイプですかァ。危ないですから、刀剣を振り回さないでください」
ひたすらボクは逃げの一手だ。
「では、潔く負けを認めるのだな」
「は、ハイ。認めますから、まずその刀剣を仕舞ってください」
刃物なんて危なくて仕方がない。
「小次郎。敗れたり」
「はァ?」なにそれ。武蔵なのだろうか。
「よかろう。潔く負けを認めるのだな。では、さっさと看板を差し出せ」
「えッ、看板ですか? そんなもの有りませんよ」
「なにを。ふざけているのか。看板もないのに甲賀忍者だと名乗るな!」
「ですから。何度も言ってるじゃないですか。最初っから甲賀忍者なんて名乗ってませんし、忍者でもないし。ここは道場でもないんですから」
泣きたい気分だ。いったい何なんだよ。この子は。
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