セクシー忍者

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笑止(しょうし)。甲賀忍者の泣き(ごと)()(ごと)など、いっさい耳をかさん」 「助けてくださいよ」  ボクは必死に逃げ回るだけだ。 「よかろう。そこまでお主が申すならば仕方あるまい」 「いやいや、ボクは、なんにも言ってないですよ」 「では、たった今からこの道場は伊賀のお蘭の傘下(モノ)だ。不服はないな」  堂々とリビングへ入っていった。 「え、いやァ、なにを言ってるんですか」  不服だらけだ。しかし刀剣を振り回されるのは勘弁してほしい。  すぐさまボクは彼女のあとを追いかけた。すでにお蘭は応接間に腰をおろし(くつろ)いでいた。 「あのォ、普段からこんな道場破りみたいな事をしてるんですか?」  ボクは、おずおずと(たず)ねてみた。 「いや、お蘭はいつも影に隠れて諜報活動に(いそ)しんでいる」 「えェ、その派手なコスプレで?」 「うつけ者か。コスプレではない。これはセクシー忍者の正装じゃ」 「どんな正装ですか。ところで諜報活動ってどんな事を?」 「それは申せぬな。伊賀のセクシー忍者は、岩よりも口が固いのじゃ」 「はァ、なにかのコスプレイベントでコンパニオンでもしてるんですか?」 「いや、永田町の長老を(たぶら)かすのが、我らセクシー忍者の主な諜報活動だ」 「すごく口が固いんですね。ベラベラと」 「まァ早い話しだ。お蘭は永田町のジジーを百人ほど転がしておるんじゃ」 「どんだけジジーを転がすんですか。ジジ活みたいなモノですか?」 「フフゥン、ジジーは孫のように甘えれば、すぐに転がるからな。金銀財宝に好きなものを買いたい放題じゃ」 「どんだけジジーを転がす気ですか」 「やがて永田町のジジーらをまとめて転がして、伊賀忍者が和の国を意のままに(あやつ)るのじゃ」 「どこの悪の秘密結社ですか。ショッカーですか?」 「けっして甲賀忍者には漏らすなよ」  「いやいや、漏らすなって自分でベラベラとしゃべってるじゃないですか」  無茶クチャな忍者だ。
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