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『ソープの島』
リビングのソファで寛ぎながらお蘭はボクにアゴで命じた。
「お茶菓子のスイーツを用意しなさい」
まるで召使いに言うような口ぶりだ。
「えェ、こんな朝っぱらからスイーツですか?」
「無礼者か。やはりお主は甲賀の忍びだな」
「いやいやァ、甲賀忍者のワケがないでしょ」
なにを言い出すんだ。
「伊賀のセクシー忍者が参ったら、漏れなく甘いスイーツとコーヒーを振る舞うのが行儀作法だろう」
「どんな行儀作法なんですか。忍者なのにスイーツなんて洋風なものを食べるんですか?」
「当たり前だ。伊賀のセクシー忍者は漏れなくスイーツが大好物なのじゃ。ひと晩に十四個食ったことがある」
「十四個も。それじゃブクブク太るんじゃないですか?」
「ぬゥ、太るはずはない。お蘭は伊賀のセクシー忍者だ。常に体重管理を怠らずセクシーを極めてきたのじゃ」
「何なんですか。それは。セクシー忍者ってオスカーのモデルなの?」
「もはやセクシー忍者の里、『泡の島』にはお蘭以上にセクシーな忍者は存在しない」
「な、なんなんですか。『泡の島』って? まさかソープランドですか」
「違う。『ソープの島』だ。ありきたりなソープランドとは、まったく異次元の島だ。殿方の夢と希望にあふれたファンタジーな島なんじゃ!」
「どんな夢と希望の島なんですか?」
「お蘭は、幼少のみぎりより伊賀のセクシー忍者として『ソープのランド』で四十八手のあらゆる体位を伝授されたのじゃ」
「どんな体位なんですか?」
なんとなく聞いているだけで恐ろしくなってきた。
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