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ジッと見つめ過ぎたのか
『そんなに見つめるな』
と言わててしまう。
「あ…すみません。あの…お名前は?」
『俺は、さっき会ったばかりの信用ねぇ奴に名前を教えるほど優しくねぇ』
グサリとその言葉が胸に刺さる。
いつもそう…
いつも…
『だが、お前に興味はある』
「え?」
『興味はある。こんな時間にボロボロになってココに来る女をな』
男の人はニヤリと笑う。
その姿さえ、魅力的で
「っ…友達から…いえ…話し相手からなりませんか?」
自分に興味を持ってくれたこの人と、もっとお話がしたいと思う。
『大罪人。とでも言っておいてやるよ』
「あの…どういう…?」
『じゃな』
男の人…大罪人さんは、そっと消えるように去って行く。
なんだか去って行くのが寂しく感じる。
でも今は忘れないように胸に手を置いて名前を繰り返した。
いつか本当の名前が知れた時が、きっと…
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