囚われているのは

2/3
前へ
/74ページ
次へ
『という訳だ。俺に会いたいなら満月に来い。まぁ無理とは言わねぇが』 いつの間にか大罪人さんが隣に居て驚く。 『へぇ、よく見ると、なかなかじゃねぇか』 大罪人さんに、じっと見られて恥ずかしくなってきて 「っ…あの…」 『そうだな、“桜月”だ』 「へ?」 『ここにいる間は“桜月”だ。これでお前も“こちらの人間“だ』 「あ…桜月」 嬉しくて、つけてくれた名前を繰り返して言う。 大罪人さんは自分の着ている羽織を脱いでかけてくれる。 『じゃな、桜月。満月の日までせいぜい大切にしろよ。自分のこともな』 そして大罪人さんは独特な香りを残して去って行く。 「あ…待って…羽織」 慌てて声をかけるが、すでに居なくなっていた。 去ったあとでも、独特な香りが残っていて、羽織からしてきて安心できる。
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加