この恋の終わりに、リボンをかけて

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稲崎蛍(いなざきほたる)の愛は重い。 これは蛍と付き合った女の子たちが口を揃えて言うことだ。 そして、その重さゆえにフラれ続ける。 「和歌(わか)〜、俺またフラれた。慰めて」 「よしよし」 「リサちゃん、俺のこと大好きって言ってたのにさ〜」 「また蛍が重いことしたんでしょ」 「してない!」 と言いながら。 メッセージはとにかく頻繁に送る。飲み会への送迎は必ずして面子のチェック、好きだよと1日に何度も囁き、同じだけ彼女にも囁かせる。さらに、いろんなものをプレゼントし常に身につけさせ、彼女の男友達には牽制を込めて面通しするらしい。各種イベントはもちろんのこと、2人だけの記念日をやたらと作って「憶えてる?」とアピールするらしい。 ……はっ、うざ。 「でもさ、GPSアプリはさすがにキモいかなって思ってね?リサちゃんのは見れなくていいから、俺のだけいつも見ててって言ったの。俺、いい彼氏だよね?」 ……はっ、おも。 いじけた子犬のようにきゅるりと瞳を潤ませる蛍は、誰がどう見てもかわいい。母性本能に強烈に働きかけるような男だから、フラれてもすぐに次の彼女ができる。女の子が切れない。 しかし、この重たすぎる愛情表現のせいで、ポンコツ恋愛歴を重ねている。 でも。 ……私なら。蛍のそういうのも、全部受け止めるのにな。 私は大学で出会ったこの男にずっと片想いしている。
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