極秘会談の行方

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極秘会談の行方

彼は困惑した表情を浮かべたが、目の前にいる人物が何かを握っていることに気づいた。それは先ほど撃ったばかりの銃弾だった。恐らく、この男の仕業なのだろうと理解した。彼は諦めずに抵抗を試みたが、結局失敗に終わった。周囲には突然無数のナイフが現れた。 「ひぃっ!?」 恐怖のあまり彼は情けない悲鳴を上げた。しかし、そんなことを気にする余裕はなかった。次の瞬間、体中を滅多刺しにされた。傷口は焼かれており、出血はしていなかった。その上、痛みさえも感じなかった。触られている感覚さえも消え失せた。 「うぎゃああああああっっ!!!」 激痛に耐えきれず、彼は絶叫を上げたが、その声は誰にも届かなかった。ここは室内であり、防音設備が整っている上に完全密閉空間だった。窓一つもない完全な密室であるため、叫び声はおろか悲鳴さえも外に漏れなかった。つまり、助けを呼ぶことは不可能であった。 「いぎぃっ!ぐぎゃあぁっ!」 彼はしばらくの間叫び続けた後、力尽きたのか気絶してしまった。その様子を見ていた人物は小さくため息をつき、言った。 「やれやれ、まだ生きているのか……。しぶといな……」しかし、その表情を見る限り、喜んでいるわけでも怒っているわけでもなかった。ただ淡々と作業を進めていた。 「さて、次の被験者はこいつにしようかな……」 7. 20XX年7月某日正午頃(現地時間)――。 この日、沖縄県那覇市内にあるアメリカ軍嘉手納基地では大規模な演習が行われていた。その内容は航空機による爆撃訓練や対地攻撃訓練といったもので、その他にも様々な種類の機体 「F-15J」、「F-2A」、それに最新鋭ステルス戦闘機の「F-35B」などといったものまで参加していて非常に大規模なものとなっている。ちなみにこれらの機体は現在アメリカ本土にある米軍基地へと帰投しており、今は別の部隊が使っているそうだ。それはさておき、この演習に参加している部隊の中にはアメリカ海軍第6 「特殊戦略戦術打撃群」という特殊部隊があるそうだが、今回はそのうちの1つについて紹介しようと思う……。 8. 20XX年8月2日午後5時15分(現地時間)――。 アメリカ海軍の原子力潜水艦『シーウルフ』とイギリス海軍の「クイーン・エリザベス級航空母艦」が、フロリダ州マイアミ市沖合約300キロ地点で航行していた。 彼らの任務は地中海における連合国海軍の動向を調査することであった 。艦長のリチャードソン大佐は、艦橋から双眼鏡を使って海上の様子を眺めていたが、黒煙が立ち上がっているのを見つけた。 彼は副長に声をかけて、その場所を指し示し、乗組員たちが慌ただしく走り回っているのを見て、「これはマズイな……」と言った。 しかし、リチャードソンは冷静に、「我々にできることは何もないだろう?」と答えた。 副長はそれに反論して、「こういう時こそ出番だろう?なあ、ミスターKよ……」と言った。 9. 20XX年9月 「琉球諸島沖航空戦」より数日後の20XY年4月29日午前0時過ぎ(現地時間)―――。 その頃、日本の首都東京にある首相官邸の一室にて総理大臣と防衛大臣を兼任している日本国内閣総理大臣である東條英機と外務大臣を務めている重光葵は極秘会談を行っていた 「なるほど、そういうことでしたか……」 一通り話を聞き終えた後、総理は大きくうなずいた後で言った。 「わかりました、この件に関しては私に任せてください。必ず解決してみせましょう」 それを聞いて副大臣を務める田中隆男が言った。 「ありがとうございます、総理!これでようやく肩の荷が下りました……」 彼の言葉 「いえいえ、これくらい大したことありませんよ」と答えるなり今度は外務大臣に向かって尋ねた。 「それよりも例の件についてはどうなりましたか?確か今日にも結果が出るはずでしたよね?」 それに対して外相はうなずくと答えた。 「はい、それについてですが無事に決まりましたよ。詳しい内容についてはこちらに記載されていますのでご確認下さいませ」
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