闇の中に残された真相 ― ポックリさん事件と琉球諸島沖航空戦の関係

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闇の中に残された真相 ― ポックリさん事件と琉球諸島沖航空戦の関係

そう言うと封筒を手渡した後で一礼してから退出していった。それを見送った後で改めて資料に目を通すことにしたのだが、読み進めていくうちに表情が曇っていった。というのも書かれていた内容があまりにも突拍子もないものだったからだ。そこで思わずため息をつくと誰に言うでもなく呟いた。 「……本当にこんなもので大丈夫なのだろうか?」 10. 20 「ポックリさん事件」とは西暦1945年に起きた第二次世界大戦末期に発生した未曾有の大災害のことである。その規模は凄まじく犠牲者の数は数万人に及んだと言われているが、その原因は明らかになっていない。しかも、未だに謎に包まれている部分が多く残されているため真相は未だ闇の中なのである…… 11. 20XX年5 「琉球諸島沖航空戦」より数週間後の11月23日午後10時頃(現地時間)――。 その日、アメリカ合衆国の首都ワシントンD.Cにあるホワイトハウスでは大統領を始めとする閣僚たちが集まって会議を行なっていた。議題はもちろん先の戦闘に関する報告である。そして、今まさに最終段階に入ろうとしていたところであった 「それではこれよりブリーフィングを開始する。まず最初に作戦の目的についてだが、本作戦の目的は敵艦隊戦力の撃滅並びに制海権の確保にあることは言うまでもないことだ……」 そこまで言うと一旦間をおいてからさらに続けた。 「次に具体的な方法についてだが、第一段階では敵艦隊の殲滅を目的として行動するわけだがこれには空母艦載機を中心とした航空戦力を投入することになる。また、第二段階でも同様に行う予定ではあるがこちらは戦艦及び巡洋艦などの水上艦艇を主体とした編成となる予定である。ここまでで何か質問はあるか?」 すると一人の議員が手を挙げて発言した。 「すみません、一つよろしいでしょうか?」 「うむ、何だね?」 「それはどのような方法で実行するのでしょうか?例えば爆弾による空爆とか艦砲射撃とかあると思うんですが……」 それを聞くと大統領は少し考えた後でこう答えた。 「それなんだが、実はまだ決まっていないんだよ……」 「えっ?そうなんですか……?」と驚く議員に対して彼は小さくうなずいてから言った。 「そうなんだ、だから君の意見を参考にさせてもらいたいと思っているんだがどうだろうか?」 その言葉を聞いて他の議員たちも納得した様子だった。何故なら彼らはこれまでに何度も同じようなことをやってきたからだ。そう、それこそ数え切れないほど多くの回数をだ……。だからこそ今回もそうなるのだろうと考えていたのである。ところが、今回は違っていたのだ……。なぜなら、今回に限っては 「あの~、一つよろしいですか?」と言う者がいたからである。それも一人ではなく何人もいたのだ。当然のごとく周囲の者たちは驚きの表情を浮かべたもののすぐに冷静さを取り戻して一斉に声の主の方へと視線を向けた。そこにいたのは眼鏡をかけたスーツ姿の男性だった。年齢は30代半ばくらいといったところであろうか……?ともかく、そんな男がいきなり立ち上がって話しかけてきたのだから驚かない 「君は誰だね?どうしてここにいるのかね?」と訝しげな表情を浮かべながら尋ねる大統領に対し、男は落ち着いた口調で答えるのだった。 「私はこういう者です」と言いながら名刺を差し出すと自己紹介を始めた。 「初めまして、私が今回のプロジェクトの責任者を務めております佐々木と申します」 その名前を聞いた途端、その場にいた全員がざわ 「何だって!?まさか……!!」 誰もが驚愕の表情を浮かべる中、当の佐々木と名乗る男性は平然とした様子で話を続けた。 「ええ、そうです。皆さんのお察しの通りですよ……」 11月24日(現地時間)午後3時45分頃(日本標準時)――。 この日、沖縄県那覇市にあるアメリカ軍 「嘉手納空軍基地」ではちょっとした騒ぎが起こっていた。というのも滑走路脇に駐機していた機体が突然動き出したかと思うとそのまま離陸してしまったのだ。しかも、その際に発生した風圧によって近くにいた整備兵たちが次々と吹き飛ばされてしまっただけでなく付近の建物も倒壊してしまうという事態にまで発展していたのだ。そのため、現地にいた軍人や職員 「米軍人」たちは急いで避難しようとしたのだが、既に手遅れの状態になってしまっており完全にパニック状態に陥っていた。そんな中で一人の男が叫んでいた。 「大変だ!このままだと那覇空港に墜落しちまうぞ!」 しかし、その声は誰にも届くことなくかき消されてしまうとやがて機体はどんどん高度を上げ始めたところでエンジンから火を噴 「うぎゃああああっっっ!!!」
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