計画の失敗が事件を招き、家族を巻き込んだ男の戦い

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計画の失敗が事件を招き、家族を巻き込んだ男の戦い

(まさかこんなものが設置されているとは思わなかったな……) 彼が驚いているのも無理はなかった。というのも、この部屋に入った時に真っ先に目についたものが 「何だこれは!?」だったからだ。というのも、そこに設置されていたのは直径2メートルくらいの大きなガラス製の容器で中には得体の知れない液体が入っていた。さらによく見るとその中には何やら小さな物体が浮かんでいるのが見えた。そこで目を凝らしてみるとそれが人の形をしていることに気づいた。その瞬間、思わず背筋がゾッとした。なぜなら、それはどう見ても死体にしか見えなかったからである。しかし 「いや、待て!落ち着け……!」と言って自分に言い聞かせると気を取り直してから改めて部屋の中を見渡した。すると今度は壁際に置かれたテーブルの上に置いてあったパソコンを発見した。 (あれを使えば何かわかるかもしれないな……) そう思った彼は早速近づいてみると電源を入れてみた。すると画面上にいくつかのアイコンが表示されるとともにパスワード入力を求めるメッセージが現れたため、仕方なく 「パスワート」と書かれた文字を探してみることにした。ところがいくら探してみても見つからなかったので諦めて別の方法を探すことにした。その結果、思い当たるところを一通り探してみたものの結局見つけられなかったので仕方がなく最後の手段を使うことにした。それはキーボードを使って直接打ち込むことだった。というのも、この手の機械の操作に関しては苦手だったのでできればやりたくなかった 「ええい!ままよ!」と言いながらキーを叩いていると画面に文章が出てきた。それを見た瞬間、思わずガッツポーズをとった後で叫んだ。 「よしっ!!これで何とかなるぞ!!」 12月上旬のある日の夜遅くのことだった。場所は都内某所にある高級ホテルのスイートルームで一人の男が頭を抱えていた。その男の名は佐藤洋 「くそっ、どうすればいいんだ!?このままではまずいぞ……」 そう言いながら悩んでいたのは彼の置かれている状況についてである。というのもつい先ほど部下から報告を受けたばかりだったからだ。その内容というのは次のようなものだった。それは、数日前に起きた殺人事件に関するもので犯人はまだ捕まっていないばかりか捜査が難航しているということだった。しかも被害者の数は増える一方で既に10 「嘘だろ……?どうしてこんなことに……」 あまりのショックの大きさに目の前が真っ暗になった。というのも、その原因というのが自分が進めていた計画が上手くいっていなかったことが理由だったからである。とはいえ、別に彼だけの責任ではないことはわかっていたし誰のせいでもないことも理解していた。にもかかわらず自分だけが責められるのはおかしいと思ったので部下たちに向かって怒鳴りつけようとした 「ふざけるな……!俺は悪くないぞ!!悪いのは俺じゃない!全部お前たちのせいだからな!!!」 ところが、その直後のことだ。突然、部屋の中に銃声が鳴り響き床に赤い染みができたかと思うと次の瞬間には目の前に立っていたはずの男の首から上が無くなっていた。突然のことで呆然としていると今度は別の方から悲鳴が聞こえてきた。慌てて振り向くとそこにいたのは二人の女性 「ひっ、ひいいっ!?」 思わず悲鳴を上げそうになったもののなんとか堪えることに成功したのでホッとしたのも束の間のこと、その二人が誰なのかに気づいて愕然とした。なぜなら、そこにいたのは自分の娘とその親友だったからだ。彼女たちはお互いに抱き合って震えながら怯えていたがやがて俺の方を見ると同時に泣き始めたので慰めようと思った矢先のことだった。 「お父様、助けてください……」と泣きながら言う娘の声が聞こえた直後、続けて彼女の親友からも同じような言葉が発せられた。それを聞いて思わず苦笑いした後で二人に声をかけた。 「大丈夫だよ、心配しなくてもいいから」 そう言うと安心させるために笑顔を浮かべながらゆっくりと近づいていくことにした。しかし、すぐに違和感を覚えることになった。というのも、どういうわけか二人は逃げようとしなかったからだ。それどころか近づいてくる俺を見て 「お願いです、どうか見逃してください!」と懇願してきたのである。これにはさすがに驚いたもののとりあえず落ち着かせるためにもまずは話を聞くべきだと思ってその場で立ち止まることにした。すると、それを見た娘たちは安心したのかホッと胸を撫で下ろした後で互いに顔を見合わせると頷きあった後で揃って俺の方を見てきた。それからまず最初に話しかけてきたのは長女 「お父様、私たちを助けてくださるのですか?」と言う質問に対して俺は即座に頷いた後、こう言った。 「ああ、もちろんだとも」と答えた後で更にこう続けた。de699360-965f-4be7-9e00-5e010e842b1a
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