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夢幻のアメリカ軍基地 ~ポックリさんという言葉の謎~
「だから安心してほしい。私は君たちのことを助けに来たんだ」
13日(現地時間)午後7時頃――。
沖縄県那覇市内にあるアメリカ軍基地
「ふう、やっと終わったか……」
そう言って大きく伸びをした後で腕時計を確認するとすでに日付が変わる直前になっていた。なので、そろそろ帰ろうかと思って立ち上がったところで誰かがドアをノックする音が聞こえてきたので振り返ってみたところ、そこには見知らぬ女が立っていた。彼女は自分を見るなり笑顔を見せながら言った。
「こんばんは、少しお話ししてもいいかしら?」
「誰だお前は?どうしてここにいる?」
「私の名前はアンナ・ウィリアムズという者だけど、そんなことはどうでもいいわ」
「どうでもよくはないんだが……」
「それよりもあなたに聞きたいことがあるんだけどいいかしら?」
「……何なんだいったい?」
「実はね、あなたが住んでいる那覇市内にあるアメリカ軍基地に関してなんだけど……」
「ちょっと待て、何でそんなことを知っているんだ!?」
「あら、やっぱりそうだったのね。ということはここがあなたの家ってわけなのね」
「おい、質問に答えろ!どうやってここを知ったんだ?」
「そんなの簡単よ。だって調べたらすぐにわかったもの」
「どういうことだ?」
「言葉通りの意味に決まっているでしょう?そんなことよりも、もっと詳しく教えてちょうだい」
そう言われて渋々ながらも答えようとしたがその前に彼女から意外なことを言われた。
「あ、そうそう。言い忘れていたけどこのことは決して口外しないようにね」
「どういう意味だ?」
「そのままの意味よ。もし誰かに喋ったりしたら命はないと思いなさい」
「おいおい、冗談はやめてくれ。一体何が目的なんだ?」
「悪いけど、答えるわけにはいかないの。とにかくそういうことだから、くれぐれも注意してよね」
「わかったよ。それで、このことについて他に知っている奴はいるのか?」
「いいえ、今のところはあなただけしかいないわ」
「そうか、ならいいんだが……。ちなみに聞いてもいいか?」
「何かしら?」
「そもそもあんたは何者なんだ?ただの民間人にしてはやけに物知りじゃないか」
「まあ、色々と事情があって詳しいのよ」
「そうなのか?」
「ええ、そうよ」
「まあいいさ、それよりこれからどうするつもりなんだ?」
「そうね、もう少しだけここにいて様子を見てみようと思っているのだけど……」
「なるほどな、それなら俺も付き合おう」
「いいの?」
「ああ、どうせ暇だしな」
「ありがとう、助かるわ」
14日(現地時間)午前11時30分頃――。
沖縄県那覇市内にあるアメリカ空軍基地内に存在するとある建物の一画にある部屋で
「一体どうなっているんだ!?」
そう言ったのはアメリカ海兵隊に所属する軍曹だった。彼は今、非常に焦っていた。なぜなら、ある人物に呼び出されたからだ。その人物とは、アメリカ海軍所属の少佐で階級は中佐だった。
「全く、こんな朝っぱらから呼び出すとはいい度胸だな」
そう言いながらも指定された
「第3会議室」へとやってきたのだが誰もいないことに気づいた。だが、その時になって初めて異変に気づいた。というのも、室内にあった椅子やテーブルなどが全て片付けられていたのだ。そして、その代わりに部屋の中央に置かれていたのは直径2メートルくらいの大きなガラス製の容器でその中には得体の知れない液体が入っていた。さらによく見るとその中に浮かんでいたのは人間の
「死体」だった。しかも、一つだけではなく全部で5つもあったことから思わず悲鳴をあげそうになったが何とか堪えた後で周囲を見渡してみた。すると、部屋の隅の方に何やら装置のようなものが設置されていることに気がついた。
「何だあれは……?」と言いながら近づいてみると、どうやらパソコンのような機器であることがわかった。ただ、画面に表示されている文章を見た途端に思わず
「うおっ!」と驚きの声を上げた後でしばらく考え込んだ後で呟いた。
「まさかとは思うが、これは何かの間違いじゃないのか?」
そう言いながら何度も見直したものの結果は同じだったため仕方なく覚悟を決めてマウスを操作してみると表示された内容を見て目を丸くした。というのも、そこには驚くべきことが書かれていたからだ。それは次のような内容だった。
『ようこそ
「ポックリさん」の世界へ』
「……何だって?」
その一文を見た瞬間に唖然としてしまったものの気を取り直してからもう一度読み直してみた後で改めて考えてみた結果、ある結論に達したのでそれを口に出すことにした。
「つまりここは現実ではなく夢か何かということか?」
そう呟いてから試しに自分の頬を抓ってみたところ
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