謎の少女マオ、太平洋戦争に関する問いかけに世間はざわつく!

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謎の少女マオ、太平洋戦争に関する問いかけに世間はざわつく!

それに対し、俺は答えた。「何でもないさ」 24. 同年同月25日午前10時15分(現地時間)――。 ワシントンD.C.のホワイトハウスで、大統領フランクリン・デラノ・ルーズベルトは書類に向かっていた。突然のノックと秘書の訪問で彼は驚くべき報せを受ける。国防総省からの情報によれば、日本はアメリカに宣戦布告したとのことだった。 大統領は衝撃を受け、一刻も早い対策が必要だと考えた。しかし、まずは情報を確認しなければならない。彼は秘書に問いかけた。「いつ頃になると思いますか?」 「おそらく来年の1月頃でしょう」と彼女は答えた。 大統領は小さく頷いた後、言葉を続けた。「わかった、ありがとう」。 2週間後の午前11時30分(現地時間)――。 イタリアの首都ローマ市内にあるレストランではちょっとした騒動が起こっていた。というのも、店内にいる客の一人が突然叫び声を上げたかと思うと、そのまま店外へと飛び出していったのだ。そして、数分後に戻ってきた時には一人の少女を連れていたのだ。いったい何事かと驚く周囲の人々を余所に少女は淡々とした口調でこう言った。 「皆さん初めまして。私はマオといいます」 それを聞いた人々は一斉にざわついた。無理もないだろう。何せ、見た目は幼い少女にしか見えないにもかかわらず流暢な日本語を話しているのだから……。そんな彼女に向かって一人の男が恐る恐る話しかけた。 「あ、あの~すみません。一つお聞きしてもよろしいでしょうか?」 すると、彼女は静かに答えた。 「どうぞ」 「あなたは日本人なんですか……?」 「ええ、そうですよ」 彼女がそう答えると、今度は別の人物が口を開いた。 「そ、そうですか……。えっと、それじゃあ、ここはどこですか?」 「ここは沖縄県です」 彼女の答えを聞いて周囲は騒然となった。それもそうだろう。なにせ、自分たちの常識では考えられないような出来事が起こっているのだから……。それでも、どうにか冷静さを保ったままでいた一人の男性がおもむろに尋ねてきた。 「そ、そうですか……。えっと、それじゃあ、ここはどこですか?」 それに対して彼女は次のように述べた。 「あなた方は太平洋戦争というものをご存知でしょうか?」 彼女の問いかけに人々は顔を見合わせた後、代表して男が答えた。 「ああ、知っているよ」 彼がそう答えると、彼女は続けて質問してきた。 「その戦争は何が原因で起こったと思いますか?」 「そりゃあもちろん……」と言いかけるや否や男はハッとした表情になったかと思うと黙り込んでしまった。そんな彼を見て彼女は再び尋ねた。 「どうしました?答えて下さい」 「……すまない。ちょっと急用を思い出したんで帰らさせてもらうよ」 そう言うと彼は足早に店を出て行った。それを見送った彼女は小さくため息をつくと呟いた。 「やれやれ、やはり一筋縄ではいかないようですね……」 3週間目を迎えたある日のこと……。
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