99歳の彼女

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アパートに着いたのは昼過ぎだった。部屋の前に見慣れた二人が立っている。 「宗介!お前大丈夫か?」 「宗ちゃん!心配したんだよ。宗ちゃんが講義に来ないとか今までないから…」 そういえば、今日は午前中選考している講義だった。講義をサボったのは初めてだ。 「あ…ごめん。大丈夫だよ」 鍵を開け、部屋に入りながら答えた。我ながら気の抜けた返事だった。そんな僕を見て、天真が笑った。 「お前…ヤったな。99歳の彼女はどんな人だったんだよ」 部屋に入るなり、天真が聞いてくる。 「…特別な人だった…」 こんなので伝わるわけがない。わかっていたが、やはりナツさんを的確に形容する言葉は見つからなかった。 「初めての女は特別なんだよ!でも、出会い系の女に惚れんじゃねーぞ。ろくなもんじゃねーからな」 そういう特別じゃない。確かにナツさんは忘れられない人になるだろう。でも、僕が言いたかったのは、そういう特別じゃない。
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