開幕

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 特に私は分かりやすいのか、蓮君は私にJOKERが来たときにはすぐに分かると言う。  ほんとかな?その割に蓮君は私からよくJOKERを貰っていったから、嘘かもしれない。  暫く遊んだあとカードを片付けながら龍平君が、 「来週、叔母さんと従兄妹が来る」と言った。 「従兄妹?あ、南の離島の?お休みなの?」 「ううん、暫く従兄妹は家で暮らす。」 と、龍平君。 「叔母さん、お母さんの妹なんだけど、身体の調子が悪くて。離島では入院するの大変で。こっちの病院に入院するんだ。」  恭平君が補足する。 「うん。叔父さん一人で離島に残って、娘の 奏音(かのん)は家で預かって家からこっちの学校に通うことにしたんだ。」 「そうなんだ。奏音ちゃんって何年生?」 「俺らと一緒。今五年生。」 「へー、じゃあ、同じクラスになれるといいね。」  私も凛ちゃんも新しい女の子の友達ができるかも、と期待して喜んだ。  そんな私たちの様子に龍平君はホッとしたみたいな顔をした。 「うん、女の子同士で仲良くしてあげたら嬉しい。あいつ、奏音、人見知りだし二人と違っておとなしいし」 「は?龍平!まるでアタシと莉乃が大人しくないみたいにいったな!」 「え?実際二人は違うだろう!」  恭平君がニヤニヤしながらからかう。  ぎゃーぎゃー言いながら凛ちゃんと恭平君はふざけあっていた。  凛ちゃんと恭平君は蓮君に言わせると「犬猿の仲」だといい、二人はお互い「そっちが猿だからな!」と押し付けあっていた。    二人のテンポのいい言い争いをみて笑っていた私に、紙コップにジュースを入れて蓮君が、渡してくれた。 「莉乃、喉乾かない?これどうぞ。」 「ありがとう、蓮くん。」 「……莉乃」 「ん?何?」 「なんかさ、変化って良いことも悪いこともあるんだよね。」 「?」 「……ううん、なんでもない。でもさ、覚えててね。僕も凛も、いつでも莉乃の友達だからね。」  その時、蓮君が何を言いたかったのか私にはわからなかった。私よりずっと頭が良くて、いろんなことを考えている蓮君のこと、私はまだ何にもわかってなかった。
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