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放課後。
「莉乃、帰ろう!」
龍平君が、私の席まで来た。
「うん。」
「莉乃、今日遊べる?新しいマンガ、買ったよ。」
凛ちゃんが声をかけてきた。
「あ、ほんと?遊びに行っていい?」
「オッケー!じゃ、一緒に莉乃の家に行ってカバン置いたらすぐ家に行こう。」
「うん。」
蓮君は龍平君にも声をかけた。
「お前らはどうする?うち、来る?」
「あー、どうかな?恭平と奏音に聞いてみる。」
私たちの方にやってきた恭平君と奏音ちゃんに聞いてみる。
「恭平、どうする?蓮の家にお邪魔する?」
「うーん、試合も近いからなぁ。キャッチボールしたい気もする。」
「それもそうだな。」
「私、二人の練習みたい!」
奏音ちゃんはニコニコして言う。
「おお!いいよ!莉乃も凛も、野球全然興味ないからなぁ!応援してもらうのいいな。」
恭平君、私と凛ちゃんに練習見てもらいたかったの?初めて聞いた。
「えー?だって頑張ってる二人、応援したいの普通じゃない?私なら毎週応援に行きたいなぁ。」
凛ちゃんは奏音ちゃんの言葉にムッとしたように唇をキュッと結んだ。
そんな凛ちゃんに気づかず、龍平君と恭平君は
「じゃあ、週末も母さんとグランドに来いよ。」と喜んでいた。
「帰ろうか?」
蓮君が凛ちゃんの肩をポンと叩いて、促した。
「蓮君はキャッチボールしないの?」
奏音ちゃんが聞く。
「しないよ。」
「えー?じゃあ、私に教えてよ。二組でやろう!」
「興味ない」
「…でも、莉乃さんと凛さんは二人で遊ぶんでしょ?蓮君は男の子の方に入ったら?」
「………読みたい本があるから。」
「……でも…」
まだ何か言いたげな奏音ちゃんを気にせず、蓮君と凛ちゃんは私を促して帰り支度を整えた。
「帰ろーぜ!」
有無を言わさず、教室をでる蓮君にみんな付いて行く。
凛ちゃんは私の手を握って歩く。
これからはこんなふうに、6人組で帰るんだな、と思った。
だから、私は気づかなかったんだ。
あの子の
「やっぱり、邪魔だな。」って呟きに。
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