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「もしもし? 林さんですか? ……突然すみません、源三郎の家族の者なんですが……」
そう言うと、電話の相手"林さん"は甲高い声を上げた。俺は釣られてペコペコと頭を下げた。
「あの、すみません。いま遺品整理をしてたんですが……その、"魔女っ子きゅるりん"の……えぇ、作者だってついさっき知ったんですけど……あの、1995話以降がまだお送りできてないんですよね?」
すると、林さんは気まずそうに答えた。
「三日後が原稿の締め切り!? あぶなっ! よかったです、今日連絡しておいて……」
そんなに差し迫っていたのか"きゅるりん"よ。遺品整理が今日でよかったと心から思った。
「たぶんこのパソコンの中に原稿のデータあるはずなので、このままお待ちいただけますか?」
不測の事態に備えて、俺は電話を切らずにじいちゃんのパソコンの中身を探った。
しばらくして、それらしきフォルダが見つかり、それを開くと、2000まで数字が振られたデータがあった。
「あっ、これかな」
その中で、"1995"の数字が書かれたタイトルのものをクリックしてみた。
画面中央にグルグルマークが出現する。
しかし、次の瞬間表示された言葉に、俺は目を疑った。
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