35人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ
ぶっきらぼうに答えるミコに、メアはため息を吐いた。
「捨て猫を拾ってきたみたいに言わないで」
メアがミコを睨みながら言う。
そしてすぐにわたしの方へ視線を向けた。
「お姉さん、こいつが迷惑かけてごめんね」
「迷惑なんてかけてないし。男に絡まれてたから助けたんだよ」
反論したミコの言葉に、他のメンバーも近づいてくる。
「絡まれてた? もしかして、うちらのファンの男?」
「ちょっと、ミコ、その男はどうしたの?」
エメラルド担当のマナこと緑川真菜、アメジスト担当のアリスこと紫苑アリスの二人がミコに詰め寄った。
「追い返したから」
ミコがぽそりと答える。
自分のファンだったということは言いたくないみたいな様子だった。
「もう! 追い返すだけで済ませてどうするの! また来るかもじゃん。マネージャーに報告してきて!」
最年長であり、リーダーのダイヤモンド担当、ヒナがミコに指示する。
ミコはちらりとわたしを見たけれど、ヒナに従って控え室を出ていった。
「お姉さん、災難だったね」
メアが声を掛けてくれた。
猫のようなツリ目がキリッとした印象なので、実年齢より大人びて見える。
「ありがとう。大丈夫です」
せっかく話しかけてくれたので、笑顔で返事をした。
大好きな推したちの前でメチャクチャ緊張しているんだけど、何とか笑顔で答えられたと思う。
最初のコメントを投稿しよう!