その恋は突然に

4/15
35人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ
「ミコが来るまで座って待っててください」  どうしていいのか分からずに立ち尽くしていると、ヒナが椅子を勧めてくる。  勧められるままに椅子に腰を下ろすと、メアが隣にきた。 「デイジーちゃん、ミコの分のドリンクお姉さんにあげていいでしょ」 「良いけど、ヒナのことデイジーって呼ばないで!」  メアはヒナに聞いてわたしにペットボトルのお茶を渡してくる。  ヒナの名前は白井(しらい)雛菊(ひなぎく)なので、雛菊=デイジーなのかなって考えながらお茶を受け取った。 「本名なんだから良いじゃん」 「ヒナが嫌なの!」  メアとヒナが言い合っているが、いつものことなのかマナもアリスも我関せずと二人で話を続けている。 (ああ、雛菊って書いてデイジーって読ませるキラキラネームなんだ……)  ヒナの一人称が『ヒナ』なのも、本名のデイジーが嫌だからなのかと納得した。  可愛いと思うけど、本人が嫌なら仕方ないのかな。 「いつもヒナのこと馬鹿にして!」  頬を膨らませて起こるヒナも可愛いけど、メンバー同士の喧嘩は見ていられない。  流石に窘めようとしたとき、控え室のドアがノックされた。 「どうぞー」  近くにいたマナが答えると、ドアが開き中年女性とミコが入ってくる。  どうやらマネージャーさんのようだ。 「ヒナ、外まで声が聞こえていたわよ。あなたは最年長でリーダーなんだからね?」  彼女は真っ先にヒナに声をかけ、次にメアに視線を移す。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!